深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~調理学~

全国栄養士養成施設協会‐栄養士・管理栄養士をサポート > コラム > 深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~調理学~

深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~調理学~

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

栄養士になろう!と思ったきっかけが、
「お料理が好きだから」だという方にとっては、
調理学の実習の授業が一番楽しいのでは
ないでしょうか。

過去問題から見る、
絶対に押さえておきたいポイントです👇👇

●「各食品の調理性
 穀類(小麦粉の種類と特性、米の種類と特性)
 野菜類、肉類、魚介類、卵類、乳類、豆類
●調味料の調理機能
 砂糖、食塩
●ゲル化素材
 寒天、ゼラチン、カラギーナン
●栄養政策
 湿式加熱、乾式加熱、伝導伝熱、対流伝熱、
 放射伝熱
●供応食
 節句と行事食の組み合わせ

過去問題では、どんな食材についての出題が
多いのか、調べてみました。
ベスト3!と発表したいところなのですが、
同率1位、2位、3位が多すぎて…💦
バランスよく、色々な食材から出題されて
いるんですね!

ということで、各食品の出題ポイントを
ざっくり整理していくことにします。
その前に、問題の深掘り。
こちらは調理操作についての問題です!
2023年の問題70。正答率66.6%です。

Q

(2023年)問題70. 乾式加熱法についての
     記述である。正しいのはどれか。

(1) 卵豆腐を蒸す。
(2) ほうれんそう をゆでる。
(3) キャベツを炒める。
(4) さといもを煮る。
(5)胚芽米を炊く。

×(1) 蒸すは、湿式加熱。
 ×(2) ゆでるは、湿式加熱。
 ◎(3) 【正答】炒めるは、乾式加熱。
 
×(4) 煮るは、湿式加熱。
 ×(5) 炊くは、湿式加熱。

「乾式」と「湿式」というワードが、
調理操作のイメージと結びつけば
覚えやすいかなと。

湿式加熱とは?

「湿」という漢字、
「湿度」「加湿器」「湿気」などといった言葉で
日常的に目にしますよね。
「水分を含んで湿り気を帯びている」
「うるおう」「しめる」といった意味です。

つまり、「湿式加熱」には水分が必要。
水(ゆで汁や煮汁など)や水蒸気が
熱媒体。

湿式加熱とは、ゆでる、煮る、蒸す、炊く
といった調理法のことです。
熱の伝わり方は、水や水蒸気の対流による
「対流伝熱」。

乾式加熱とは?

「乾燥」「乾物」などといった言葉で
目にする
「乾」という漢字。
「水分がない」「水気をとる」「かわかす」
といった意味です。

つまり、「乾式加熱」には水分が不要。

乾式加熱とは、焼く、揚げる、いためる、いる
といった調理法のことです。

熱の伝わり方は、調理法によって異なります。
★直火焼き:放射伝熱
★間接焼き:調理器具(フライパン、鉄板など)
      からの伝導伝熱
      調理器具内での空気の対流に
      よる対流伝熱
★いためる:調理器具(フライパン、鉄板など)
      からの伝導伝熱
      調理油からの伝導伝熱
★揚げる:揚げ油の対流による対流伝熱
★いる:調理器具(フライパン、鉄板など)から
    の伝導伝熱

日本人の主食・「米」

米の調理性についての出題が特別多いわけでは
ないのですが、米は日本人の主食!
多くの給食施設で、高い頻度で扱う食品です。
出題されている内容は、どれも外せない大事な
ポイント。

もち米について、炊飯について、米料理について、
それぞれ出題されていることは覚えておくべき
重要事項です!

★もち米:
 ①うるち米に比べ、浸漬中の吸水率が高い
 ②うるち米に比べ、加熱後の好ましい硬さの
  炊きあがり倍率は低い
 ③もち米の飯は、うるち米の飯よりもでんぷん
  の老化が遅い
 ④もち米は、十分に吸水(120分間は浸漬)
  させた後、蒸し加熱する方法が適している
★炊飯:
 ①洗米過程で、米の重量の約10%の水が
  付着する
 ②洗米時の吸水量も、加水量に加える
 ③浸漬中の水温が高いほうが、吸水は速い
 ④加水量は米重量の1.5倍容量の1.2倍
 ⑤炊飯中の蒸発量は、米の10〜15%
 ⑥米でんぷんの糊化には、
  95~100℃で20分間の加熱が必要
 ⑦飯中の水分分布を均一にするため、
  消火後10~15分間蒸らす
 ⑧飯は、米重量の2.1~2.4倍の炊き上がり
  標準である
★米料理:
 ①すし飯は、加水量は白飯より少なくする
 ②ピラフは、生の米を油脂で炒めてから
  炊き上げる
 ③ピラフに用いられる油脂は、
  米重量の7~10%
 ④炊き込みご飯は、米の吸水を妨げないよう、
  調味料は加熱直前に加える
 ⑤粥の米の割合:
  全粥>七分粥>五分粥>三分粥

各食品の調理性

各食品の調理性について、過去複数回出題されて

★野菜の調理性:
 ①赤かぶ、赤しそ、紫キャベツに含まれる
  アントシアニンは、酸(お酢を加える)で
  赤色になる
 ②カリフラワーに含まれるフラボノイドは、
  酸性で(お酢を加えてゆでると)白色になる
 ③ごぼうは、切ったまま放置すると
  ポリフェノールが酸化され褐変する
★小麦
 ①たんぱく質量:強力粉>中力粉>薄力粉
 ②てんぷらの衣は、薄力粉が◎
 ③小麦粉のフラボノイドは、アルカリで
  黄変するため、重曹を入れて調製した
  蒸しパンは白く仕上がらない
 ④小麦粉に水を200% 前後加えた生地を、
  バッターという
 ⑤ルーの炒め温度は、高いほうが
  ソースの粘度は低くなる
 ⑥ドウをねかすと、伸びやすくなる
 ⑦シューの膨化は、加熱により生地内部に
  発生した水蒸気の圧力によるものである
★豆類及びその加工品
 ①大豆は水に浸漬後、元の重量の約2倍
  増える
 ②煮豆を作るとき、新しい豆は古い豆より
  短時間でやわらかくなる      
★油脂
 ②クッキーでは、バターが多い方
  サクサクしたテクスチャーになる
★魚介類
 ①でんぶを作るのに適している魚は白身魚
 ②煮魚は、沸騰した煮汁に、魚を入れる
 ③赤身魚は、平造りや角造りにする
 ④しめさばは、魚に食塩を振って脱水させた後、
  食酢に漬ける
 ⑤魚臭は、酒、みそ、牛乳に浸けて除く
★肉類
 ①繊維や筋に対し、直角に切断することで
  軟らかくすることができる
 ②肉をマリネにすると、保水性が良くなり
  軟らかくなる
 ③ひき肉に塩を入れてこねると、
  結着性が増加する
 ④しょうがやパイナップルの汁は、
  肉を軟化させる作用がある
 ⑤肉の加熱による色の変化は、ミオグロビンの
  色素たんぱく質が変性するためである
★卵類
 ①卵白は、温度が高い(30~40℃)方が、
  起泡性が高い
 ②凝固温度は、卵黄より卵白の方が高い
 ③希釈卵液の加熱調理では、希釈液に牛乳を
  用いると水を用いるよりも凝固しやすい
 ④茶わん蒸しを 85~90℃ で蒸すと、
  すがたちにくい
★牛乳
 ①アミノカルボニル反応により、
  焼き菓子に焼き色がつきやすくなる
 ②牛乳に含まれるカルシウムなどの塩類が、
  希釈卵液の熱凝固を促進する
 ③じゃがいもの煮崩れを防ぐ
 ④ゼラチンゼリーの強度を高める
 ⑤寒天ゲルのゲル強度を低下させる

色々なジャンルの、様々な食材・調理法を使った
調理が、美味しく作れるようになったら素敵です
よね✨
調理技術を実践で学ぶだけではなく、
その調理操作にはどんな原理があるのか、
その食材はどんな特性によって変化するのか、
しっかり理解することで、より調理の幅が
広がってくるはずです。


出典:
調理学―健康・栄養・調理― アイ・ケイ・コーポレーション
   栄養科学シリーズNEXT 基礎調理学 講談社

※建帛社 2025年版 栄養士実力認定試験過去問題集
全国栄養士養成施設協会が毎年実施する実力認定試験を
2024年12月実施分まで、過去5年間の問題を分野別に網羅。
直近2年は、実際の問題用紙を掲載。解説付き別冊解答充実。
5年間のすべての問題の正答率も示す。ご購入は建帛社様サイトから。



栄養士実力認定試験に関するお問い合わせはこちらからご入力してください。

▶Columnist Profall
協会事務局スタッフ M・Y
管理栄養士
日本女子大学卒業
大手食品メーカーの研究職を経て、現在に至る。
3児のママ。

 

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加