<おいしい情報をお届けするコラム>行事食で季節の移り変わりを楽しもう【後編】

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おいしい情報をお届けするコラム「行事食で季節の移り変わりを楽しもう」の【後編】をお届けします。
前編
では、「おせち料理」「七草の節句」「節分」「ひな祭り」「こどもの日」「土用の丑の日」の行事食を紹介しました。
後編は、これから迎える大晦日に欠かせない、"あの行事食"も!

十五夜


十五夜とは、旧暦の8月15日の夜のこと。かぐや姫が月に帰ってしまった日です。

月の満ち欠けが基準の旧暦と、太陽の動きを基準としている現在の暦にはずれがあるため、十五夜は毎年決まった日ではありません。
また、現在の十五夜は、旧暦との誤差でほとんど真ん丸でも満月ではないときがあります。2019年の十五夜は9月13日です。

 ・由来や意味
月を鑑賞する習慣は、中国から平安時代の貴族に伝えられました。江戸時代になって一般庶民にも広まり、夏の作物の収穫に感謝して、稲の豊作祈願をするお祭りとなりました。

・あれこれ
お月見のお供え物といえば月見団子。月が満ちる姿を表して、米の粉を練って丸めたのが始まりです。
また、十五夜は別名「芋名月」と呼ばれ、里芋やさつまいもなどの芋類を供えて、ほかに旬の野菜や果物、神様が宿るとされるススキを飾ります。お供え物はお月見が終わってから食べると健康や幸せが得られると考えられています。

 

冬至


冬至は二十四節気**のひとつで、1年の中で最も日照時間が短くなる日。毎年変動します。
2018年と2019年の冬至は12月22日です。


 ・由来や意味
冬至は、太陽の力が最も弱まり、生命が衰弱する日として恐れられていました。一方、この日を境に日照時間が伸びてゆくことから、「一陽来復(いちようらいふく)」といって、太陽がよみがえる日としてお祝いされてきました。

栄養豊富なカボチャを食べたり、ユズ湯に入って体を温めたりして、寒さに備えて体調を整えるという意味があります。

 

・あれこれ
冬至に「ん」がつく食材を食べると「運」が向いてくるといわれています。「ん」がふたつ付くなんきん(カボチャ)、レンコン、寒天、ギンナン、キンカン、うどん(うんどん)、ニンジンは冬至の七種(ななくさ)と呼ばれています。

ユズの木は寿命が長く病気にも強いことから、無病息災を祈ってユズ湯に入ります。

大みそか


大みそかの夜に年越しそばを食べます。

・由来や意味
年越しそばの由来は、そばは細く長いことから健康長寿を願ったというものや、そばは切れやすいことから旧年の厄災を断ち切るというものなど、諸説あります。

・あれこれ
「年越しそばは、年を越す前に食べきらないと、翌年の金運や健康運に恵まれない」という言い伝えがあります。また、1年間の疲れをやわらげるという意味の「労ぐ(ねぐ)」や、神職の「祢宜(ねぎ)」にかけて、薬味のネギはたっぷりと添えます。

彼岸


春彼岸と秋彼岸の2回あります。二十四節気**の春分の日、秋分の日を中日(ちゅうにち)として、前後3日間を合わせた7日間のことです。春分の日と秋分の日は昼夜の長さが同じです。毎年変動します。

2019年の春分の日は3月21日、秋分の日は9月23日です。

・由来や意味
仏教の西方浄土の(極楽は西のかなたにあるという)教えから、太陽が最も真西へ沈むこの時期に、先祖を供養するのがよいと考えられるようになりました。

・あれこれ
お供えの「ぼたもち」と「おはぎ」は同じものです。「牡丹餅(ぼたもち)」は春の牡丹の花に、「お萩(おはぎ)」は秋の萩の花に見立ててそう呼ばれています。もち米やうるち米をつぶして丸く形づくり、アズキのあんでくるんだもので、アズキの赤は邪気を払う魔よけの色です。

 

赤飯


赤飯は、お祝い事のある特別な日に食べます。

・由来や意味
彼岸のぼたもち(おはぎ)と同様に、アズキの赤い色には魔よけの力があると考えて、邪気を払う食べ物としてお祝いの席でふるまわれるようになりました

・あれこれ
一般的に、赤飯といえばアズキですが、甘納豆や金時豆、大福豆、落花生など、地域によってさまざまな赤飯があります。 身近なおめでたい日に赤飯でお祝いしましょう。
前日からアズキを浸したり、もち米を煮汁に浸したり…蒸すのにコツや手間が必要な赤飯。
アズキをさっと煮て、もち米にうるち米を混ぜて炊飯器で炊くだけの簡単なレシピをご紹介します。失敗なしで本格的な赤飯が出来上がります。少量の砂糖を加えることで冷めても堅くなりません

簡単!炊飯器で赤飯

<材料>
もち米 2合
うるち米 1合
ササゲ(またはアズキ) 50~60g
砂糖 小さじ1
塩 ひとつまみ
ごま塩 適宜

<作り方>
1.ササゲは軽く水洗いして、鍋に入れて水4カップ(800cc)を注ぎます。強火にかけて煮立ったら弱火にして約30分間ゆでます。途中、ゆで汁が少なくなったら水を足します
2.ササゲは指でつまんでつぶれる程度の少し硬めにゆでます。ザルに上げて、ゆで汁と分けます。ゆで汁は玉じゃくしで時々すくいながら(空気に触れさせて発色させながら)冷まします。ゆで汁が足りないときは水を足して450ccにします
3.米は合わせて洗い、ザルに上げて約30分間おきます
4.炊飯器の内釜に米を入れ、ササゲのゆで汁450ccを注ぎ、砂糖小さじ1と塩ひとつまみを加えて混ぜて、ササゲをのせて炊きます。炊き上がったらふんわりと混ぜ、器に盛ってごま塩をふります

☆ポイント
・アズキより煮崩れしにくいササゲを使用するのがおすすめです
・ササゲ(またはアズキ)は米の1割強を使用します。もち米もうるち米も1合約150g、今回は3合で約450gなので、ササゲは45gより多めの50~60g使用します
・ササゲのゆで汁が冷めたら、ゆでたササゲが乾燥して硬くならないうちに炊き始めます

(全量1,863kcal 塩分3.8g)

これから迎える大晦日に欠かせない「年越しそば」の由来や意味を読んでいただけましたか?
収穫に感謝し、厄を払って家族の幸せや健康を願い、栄養や休息を取る意味も持つ「行事食」。
新しい年"2019年"は、行事食を楽しむ一年にしてみませんか?

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*五節句とは1年に5回ある季節の節目の日(節日)のこと。
1月7日:人日の節句
3月3日:上巳の節句
5月5日:端午の節句
7月7日:七夕の節句
9月9日:重陽の節句

**二十四節気とは一年を24等分にして「節気」として名前をつけたもの。現在でも季節を示す言葉として使われており、農作業の目安にもなっています。
二十四節気の起点は「立春」です。
春:「立春」「雨水」「啓蟄」「春分」「清明」「穀雨」
夏:「立夏」「小満」「芒種」「夏至」「小暑」「大暑」
秋:「立秋」「処暑」「白露」「秋分」「寒露」「霜降」
冬:「立冬」「小雪」「大雪」「冬至」「小寒」「大寒」




 

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