<おいしい情報をお届けするコラム>行事食で季節の移り変わりを楽しもう【前編】

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行事食を知っていますか?
季節折々の年中行事のときにいただく特別な料理のこと。本来は神様にお供えするものです。
旬のものやその地域ならではの食材を取り入れて、普段は食べないごちそうを用意します。
収穫に感謝する、厄を払って家族の幸せや健康を願う栄養や休息を取るなどの意味があります。

春夏秋冬・・・旬の食材を感じられる行事食。
地域によって風習や習わしは異なりますが、コラムでは代表的な行事食をピックアップしました。
「由来や意味」そして、知ったら誰かに教えたくなる「あれこれ情報」を"前編"と"後編"の2回にわけてご紹介します。

おせち料理

おせち料理は、元日から三が日までに食べるのが一般的ですが、大みそかから食べ始める地域もあります。



・由来や意味
平安時代の年中行事の「節日(せつじつ)」の時に、おめでたい料理として作られた「御節供(おせちく)」が語源といわれています。

お正月は、年神様(としがみさま)をお迎えするために、門松やしめ飾り、鏡餅などのお正月飾りをして、おせち料理でお祝いします。おせち料理が日持ちするのは、年神様を迎える三が日は「台所を騒がしくしない」という風習から。ほかに、せめてお正月だけでも女性がゆっくりと休めるようにという配慮だといわれています。

・あれこれ
おせち料理には、それぞれに意味があります。例えば、黒豆はまめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らせるようにと無病息災を願います。田作りは「五万米(ごまめ)」とも呼ばれ、五穀豊穣を祈願します。数の子は子宝や子孫繁栄を願い、親のニシンから「二親健在」を祝います。昆布巻きは「養老昆布(よろこぶ)」から不老長寿を願い、喜ぶの語呂合わせから縁起が良いとされています。

重箱にも「めでたさが重なるように」との願いが込められています。また、蓋をすることでほこりなどの異物の混入を防ぎ、重ねることで場所を取らず保存しやすくなります。
重箱は四段重が基本。上から、「一の重」、「二の重」、「三の重」、「与の重」と呼びます。「四」は「死」を連想させて縁起が良くないことから「与」という字が使われています。
一の重には「祝い肴」の黒豆、田作り、数の子、昆布巻きなどを詰めます。二の重には「焼き物」のエビやタイなどを、三の重には「煮物」の煮しめや筑前煮など、与の重には紅白なますや菊花かぶなどの酢の物です。詰め方や料理の種類は、地域によって違います。

七草の節句


毎年1月7日の朝食には七草粥を食べます。

・由来や意味
七草粥は、五節句*の「人日(じんじつ)の節句」に由来します。春の七草を粥に入れて食べて、無病息災を願います。お正月のごちそうに疲れた胃腸を休めて、青菜の不足しがちな時期に栄養補給をする意味があります。

・あれこれ
春の七草は、セリ(芹)、ナズナ(薺)、ゴギョウ(御形)、ハコベラ(繁縷)、ホトケノザ(仏の座)、スズナ(菘)、スズシロ(蘿蔔)です。

節分


節分は二十四節気**の立春の前日です。立春は、うるう年によって前後することがあります。
2019年は立春が2月4日なので、その前日の2月3日が節分です。

・由来や意味
節分には豆をまいて鬼を追い払います。鬼とは病気や災害のこと。「魔を滅する」から「魔滅(まめ)」として、豆には魔よけの力があると信じられてきました。

 

・あれこれ
豆まきに炒った大豆を使うのは「魔を射る」の語呂合わせから。炒った大豆を福豆といいます。

豆まきが終わったら、福豆を自分の年齢の数だけ食べるのは、年と同じ数の福を体に取り入れるという意味があります。年齢の数よりひとつ多く食べるという地域もあります。大豆の代わりに落花生を使うところもあります。

 

ひな祭り


3月3日はひな祭りです。

・由来や意味五節句*の「上巳(じょうし)」の節句です。平安時代、紙で作った人形(ひとがた)に自分に降りかかる災難を移し、それを川に流して厄よけをしました。この風習が、ひな人形を飾り、女の子の成長を願うひな祭りへと変化しました。

「桃の節句」と呼ばれるのは、桃の花が咲く時期ということと、桃は邪気を払う魔よけの力があると信じられていたからです。

 

・あれこれ
ひな祭りのごちそうは「ちらし寿司」と「ハマグリのお吸い物」です。ちらし寿司には、その姿にたとえて腰が曲がるまで長生きするようにと願いを込めたエビや、穴が開いていることから見通しがきくとされるレンコンなどの縁起の良い食材を使います。ハマグリは、殻が対になっていて他の貝殻とは決して合わないことから、良縁に恵まれ夫婦円満になるとしてお祝い事には欠かせないものです。

代表的な甘味は、桃の花びらを漬けた桃花酒が由来の「白酒(しろざけ)」、昔、ひな遊びの携帯食とされていた「ひなあられ」、ヨモギを使った餅が始まりとされる「菱餅(ひしもち)」です。ヨモギには特有の香りがあって、邪気を払うとされます。

 

こどもの日


5月5日はこどもの日です。

・由来や意味
古代中国では、五節句*の「端午の節句」には、独特の強い香りから厄よけの薬草とされる菖蒲(しょうぶ)やヨモギを用いて、病気や災厄をさけるための行事が行われていました。江戸時代になってから、菖蒲と「勝負」または「尚武(しょうぶ、武道を重んじること)」をかけて男の子のお祝いとして広まりました。

 

・あれこれ
災いから子どもを守るとされる兜(かぶと)や人形、立身出世の象徴の鯉のぼりを飾ります。
柏は新芽が出ないと古い葉が落ちないことから、子孫繁栄を願って柏餅を食べます。ちまきを食べるのは中国から伝来しました。

土用の丑の日


土用とは、二十四節気**の立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間のことですが、現在は立秋の前の土用をさします。
丑の日とは、十二支を使って暦を数えた場合の「丑」にあたる日のこと。「土用の丑の日」が2回の年もあります。

2019年の土用の丑の日は7月27日です。

・由来や意味
江戸時代、夏の丑の日に「うのつく物を食べると夏バテしない」といわれ、キュウリやスイカの瓜(ウリ)、梅干し、うどんなどが食べられていました。
蘭学者の平賀源内が、うなぎ屋の店先に「本日土用丑の日」と張り紙をしたところ大繁盛したのがきっかけで定着したといわれています。

 

前編は、「おせち料理」から「土用の丑の日」までご紹介しました。いかがでしたか?
由来や意味を知っていると、さらに料理がおいしく感じられると思います♪
来週は後編をお届けします。




 

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