<おいしい情報をお届けするコラム>「油」と「脂」の違いを知っていますか?食用油を使い分けてみよう

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今回の、おいしい情報をお届けするコラムは、毎日の食事に欠かせない「あぶら」について。
油と脂。2つの違いわかりますか?
常温で液体のものが油(oil)、個体のものが脂(fat)です。
"植物性"と"動物性"、そして"加工されたもの"に大別される食用の油脂。
植物性油脂は、主に植物の種子が原料でリノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸を多く含み、動物性油脂は、動物の脂肪が原料でパルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸を多く含みます。
加工油脂は、動植物の油脂を原料にして用途に応じて加工されたものです。

【食用油脂の分類】


 
(左)ラード                          (右)オリーブオイル


サラダ油の”サラダ”はどういう意味?

サラダ油は、JAS(日本農林規格)によって原材料と製法が定められている食用油のことです。

味やにおいに癖がないサラダ油

精製度が高く低温でも固まらず、加熱しても酸化しにくい特徴があります。
サラダなどの料理に生のままで使用しやすいことから「サラダ油」と呼ばれているんです。


また、加熱調理にも向いていて、主に大豆油やなたね油、とうもろこし油などを合わせた調合油として販売されています。

揚げ物するなら天ぷら油



サラダ油のような定められた規格はなく、揚げ物や炒め物などの加熱調理用として製造販売されていることから「天ぷら油」と呼ばれています。
精製度が低く生食には向いていません。
食用油脂の主成分は脂質。
三大栄養素の脂質は、体を動かすエネルギー源となり、細胞膜を構成するなど、生きていくうえで不可欠な栄養素。脂溶性ビタミンの吸収にも役立っています。
脂質は1g当たり約9kcalと高カロリー。
取り過ぎると体脂肪として蓄えられ、肥満や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因になりますが、不足すると疲れやすくなったり、免疫力が低下したりします。

見える油と見えない油の正体は?

油脂には食用油やバター、マヨネーズなどの「見える油脂」と、肉や卵、乳製品、加工食品などに含まれている「見えない油脂」があります。
 
(左)バター                          (右)マーガリン

油は太るというイメージから「見える油脂」を気にしがちですが、なんと! 脂質の摂取量の約8割は「見えない油脂」です。

油の劣化は「油が〇れてる」・・・〇に入る言葉は?

揚げ油を繰り返し使っていると、色が濃くなってきたり、粘りが出てきたり、加熱すると泡が消えにくくなったり。
このような油が劣化した状態のことを・・・「油が疲れている」といいます。

また、揚げ油は衣に吸収されて減っていきます。次に使用するときに新しい油をつぎ足すことを「さし油」といいます。さし油をすると油の劣化が遅くなるので長持ちさせることができます。

今回の美味しいレシピは、炒め物の定番! 「肉野菜炒め」です。
旬の野菜やキノコ、冷蔵庫にある野菜などを豚肉と一緒に炒めるだけの簡単なメニューですが、上手に作らないと野菜から水分が出てべちゃっとしてしまいます。水っぽくならず、野菜をシャキシャキに仕上げるための基本の作り方をご紹介します。

<炒め物の定番 肉野菜炒め>



◆基本の肉野菜炒め
<材料 2人分>
キャベツ 200g
モヤシ 1/2袋
ニンジン 1/3本
ピーマン 1個
タマネギ 1/2個
豚バラ肉(薄切りまたはこま切れ) 100g
炒め用の油 小さじ2
*炒め用の油は好みの油をお使いください

・豚肉の下味用の調味料
酒 小さじ1
塩 少々
コショウ 少々
ショウガのしぼり汁 少々
片栗粉 小さじ1/2 
・味付け用の調味料
しょうゆ 小さじ2
酒 小さじ1
中華スープの素又は和風だしの素 小さじ1/2
ごま油 小さじ1/2

<作り方>
①豚肉は一口大に切って、片栗粉以外の下味用の調味料をもみ込んでから、片栗粉をまぶします。
②キャベツは一口大に切って、芯の部分は薄切りにします。ニンジンとピーマンは短冊切り、タマネギはくし切りにして、モヤシは洗います。野菜はしっかりと水気を切ります。
 味付け用の調味料を合わせておきます。
③フライパンにサラダ油を入れて弱火にかけたら、豚肉をフライパンの底に広げます。その上にタマネギとニンジンを散らすように入れます。豚肉は1枚ずつきちんと広げなくても大丈夫。下味を付けて片栗粉をまぶしてあるので、軽くばらせば火が通ると自然にほぐれて固まりになることはありません。豚肉に軽く火が通ったら全体をさっと混ぜて、混ぜ過ぎないように焼くように炒めます。
④豚肉に火が通って、タマネギが半透明になったらピーマンを入れます。
⑤ピーマンに油がまわって熱くなったらモヤシを入れます。
⑥モヤシが半透明になったらキャベツを入れます。キャベツの端が半透明になってきたら味付け用の調味料を全体に絡めます。キャベツは余熱で火が通るので、つやが出てきたら出来上がり。熱いうちに器に盛ります。

<炒め方のコツ>
★野菜炒めは「強火で手早く」のイメージがありますが、家庭では弱火でゆっくりと炒めます。
★豚肉を入れたら、野菜は火の通りにくいものから順番に。その都度軽くひとまぜしたらフライパン全体に均等に広げて、炒めるというよりも焼くようにします。時折混ぜるのは焦げな いように上下を返す程度。混ぜ過ぎないようにします。
★一度にたくさん入れるとフライパンの温度が一気に下がってしまいます。また、あおる必要はありません。フライパンが火から離れて温度が下がる原因になります。

(1人分 324kcal 塩分1.4g)

 

何かと話題のトランス脂肪酸!

常温で液体の植物油からマーガリンやショートニングなどの半固体または個体の油脂(硬化油)を製造する過程で、水素添加によって生成されるのがトランス脂肪酸。過剰に摂取すると、LDLコレステロールを増やし、HDLコレステロールを減らし、心疾患のリスクが高まるという指摘も。
海外では、食品への使用規制などで注目され話題になっています!
国内の食品メーカーでは、トランス脂肪酸の含有を低減した商品の開発を進めています。
また、日本人のトランス脂肪酸の平均的な摂取量は、欧米と比較すると下回る状況にあることから、健康への影響は少ないと考えられています。それを知ると安心しますね。

スーパーなどでは、さまざまな種類の食用油が並んでいます。
特長や違いを知り、好みや用途に合わせて使い分ければ、料理の仕上がりもグーンと変わってきますよ♬


 

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