深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~食品学総論~

さて、「食品学」です。
栄養士を目指す皆さんが好きであろう
「食べ物」そのものです😊
食品学総論、過去問題の傾向から、
絶対に押さえておきたいポイントを挙げます。
●日本食品標準成分表の基本的な見方
●食品中の水(自由水、結合水、水分活性)
●食品中の五大栄養素は、
どんな性質か
どんな食品に多いか
●呈味成分
●色素成分
五大栄養素の性質は、生化学と重なる部分も
あります。
丸暗記ではなく、「これ何だっけ?」と思ったら、
ぜひ生化学のテキストも確認してみましょう!
今回の「深堀り」するのは、
「水分」の問題です。
2024年問題23、の正答率は63.2%でした。
Q
(2024年)問題23. 水分活性についての記述である。
正しいのはどれか。
(1) 水分活性は、結合水の割合が大きいほど
高くなる。
(2) 水分活性の最大値は、100である。
(3) カビは、細菌よりも低い水分活性で
繁殖できる。
(4) 食品中の脂質の酸化は、水分活性の影響を
受けない。
⇒×(1)水分活性は、自由水の割合が
大きいほど高くなる。
×(2) 水分活性の最大値は、1である。
◎(3) 【正答】
×(4) 食品中の脂質の酸化は、水分活性の
影響を受けない。
「水分が多いから、口当たりが良くて食べやすい」
「水分が少ないから、日持ちする」
などなど、水分は、食事や買い物での食品の選択
にも影響する、身近で分かりやすい成分です。
食品の水分が「多い」「少ない」って、
どんなことなんでしょうか。
食品の水分についてのポイント👇です。
☆他の成分(糖質やたんぱく質)と
くっついていない、
フリーな状態の水が「自由水」
☆他の成分とくっついた状態の水が「結合水」
☆「自由水」と「結合水」の割合を示すものさし
が「水分活性」
☆「水分活性」が低い食品は保存性が高い
それぞれ見ていきましょう。
他の成分とくっついてない「自由水」
フリーな状態の「自由水」は、
まさに「水」らしく、
低温(0℃以下)になれば氷になり、
高温(100℃)になれば水蒸気になります。
そして、食品中の微生物が元気に過ごし、
増えていくために利用できるのも、
「自由水」です。
他の成分とくっついている「結合水」
「結合水」はフリーではないので、
低温(0℃以下)になっても凍らず、
高温(100℃)になっても蒸発しにくい。
そして、微生物が利用できません。
「自由水」と「結合水」の割合を示すものさし・
「水分活性」
「水分活性」をちゃんと理解しようとすると、
蒸気圧の話になります。
「気圧…」と高い壁を感じる人もいるかも…💦
なので、ざっくり
『「自由水」と「結合水」の割合を示すものさし』
と覚えましょう。
<水分活性のポイント👇>
・水分活性の値は、「0~1」
・純水の水分活性は「1」
・自由水の割合が多い⇒水分活性は「大」
・結合水の割合が多い⇒水分活性は「小」
「水分活性」が低い食品は保存性が高い
水分活性は、微生物の増殖、酵素活性、
脂質の酸化に影響を与えます。
<微生物>
・水分活性が低いと、
一般的に微生物は 増殖できない
細菌→0.8弱くらいで×
酵母→0.75くらいで×
カビ→0.7弱くらいで×
<酵素>
・水分活性が低くなると、酵素活性も低くなる
<脂質の酸化>
・脂質の酸化は、水分活性0.3までは
低下に伴って起こりにくくなる。
・脂質の酸化は、水分活性0.3以下になると、
低下に伴って起こりやすくなる。
水分活性が適度に低く、保存に適当な状態なのに、
乾物のように水戻しをしなくても食べられる
食品を「中間水分食品」といいます。
中間水分食品は、水分活性0.65~0.85。
塩漬けや砂糖漬け、ジャム、魚の干物など、
「美味しく長持ち」の工夫として
つくられてきた食品には、
中間水分食品がたくさんあります。
昔の人は、経験の中で食品の水分を調整し、
保存食を生み出してきたんですね✨
出典:サクセス管理栄養士講座 食べ物と健康Ⅰ
第一出版
全国栄養士養成施設協会が毎年実施する実力認定試験を
2024年12月実施分まで、過去5年間の問題を分野別に網羅。
直近2年は、実際の問題用紙を掲載。解説付き別冊解答充実。
5年間のすべての問題の正答率も示す。ご購入は建帛社様サイトから。
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▶Columnist Profall
協会事務局スタッフ M・Y
管理栄養士
日本女子大学卒業
大手食品メーカーの研究職を経て、現在に至る。
3児のママ。