深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~栄養学総論①~

「栄養」とは何か?
栄養学の初回の授業、もしくは1年生の一番初め
に習ったかもしれません。
生物が食物を摂取して、
代謝する(エネルギーを作ったり
身体成分に変えたりする)ことで、体を成長させ、
活動をしてくことが「栄養」。
そのために必要な物質が「栄養素」。
それぞれの栄養素が、どのような特性を持ち、
どのように代謝されるのかを「栄養学総論」で
学びます。
過去問題の傾向からわかる、
絶対に押さえておきたいポイントです👇
●糖質の栄養
食後の糖質の栄養、
食間(空腹時)の糖質の栄養、
糖新生、グリコーゲン
●脂質の栄養
食後の脂質の栄養、
食間(空腹時)の脂質の栄養、
リポたんぱく質
(キロミクロン、VLDL、LDL、HDL)、
脂肪酸の種類、β酸化
●たんぱく質の栄養
たんぱく質の栄養価(アミノ酸価、生物価)
●ビタミンの栄養
各ビタミンの働き、
各ビタミンの欠乏症
●ミネラルの栄養
各ミネラルとそれを含む生体構成成分、
各ミネラルの欠乏症
●消化・吸収
糖質、脂質、たんぱく質の消化・吸収過程
消化液
解剖生理学、生化学、食品学総論と
重なる部分もあり、復習になりますね✨
「栄養学ならでは」なのは、
「食後」「食間」の栄養素についてかな…
と思うのですが、
これを問う問題の正答率は
ちょっと低めです💦
今回の「深掘り!」で取り上げていきましょう。
2023年問題41、正答率は48.2%。
Q
(2023年)問題41. 糖質の栄養についての
記述である。正しいのはどれか。
(1) 食後、脂肪組織ではグリコーゲンの合成が
促進する。
(2) 食後、筋肉ではグリコーゲンの合成が
促進する。
(3) 空腹時、グルコースから脂肪酸が
合成される。
(4) 空腹時、筋肉ではグルコースの取り込みが
促進する。
⇒×(1)脂肪組織ではグリコーゲンではなく、
トリグリセリドの合成が促進する。
◎(2) 【正答】
×(3) 食後、グルコースから脂肪酸が
合成される。
×(4) 食後、筋肉ではグルコースの
取り込みが促進する。
無毒化されない。
余った糖質⇒グリコーゲン?脂肪酸?
生化学①のコラムで、「余った糖質を蓄えたい!」
というときの貯蔵の形が「グリコーゲン」と
説明しました。
グリコーゲンは肝臓と筋肉で合成・貯蔵されます
が…
実は、そんなにたくさんは貯蔵できない💦
そこで、さらに余ったグルコースは
脂肪細胞に取り込まれ、
トリグリセリド(脂肪酸+グリセロール×3)
に変換されて蓄積されます。
油脂の多い食事を控えていても、
ご飯や麺類、甘いものを食べ過ぎると、
お腹周りの脂肪がつかめるようになってしまう
理由が分かりますね💦
空腹時、糖質の役割の優先順位を考えよう
食事をしてから時間が経ったり、
食事を十分に摂れない状況になったりすると、
血液中のグルコース(血糖)が不足してくること
になってしまいます。
特に脳は、血糖のエネルギーしか利用できない。
脳の機能低下は生命の危機です。
つまり、血糖を一定レベルに保つことが最優先
なので、食間に積極的に筋肉へ取り込もうとは
しません。
むしろ、低血糖の状態になると、
筋肉の体たんぱく質を血糖の材料にします。
まずはアミノ酸へと分解されて
血液中に放出され、
このアミノ酸は肝臓に取り込まれて、
糖新生の材料となります。
血糖をコントロールするホルモン
食後、糖質が消化・吸収されると、
血糖値が上がります。
これを下げるのは、膵臓から分泌される
インスリン。
血中の余分なグルコースを細胞に取り込み、
グリコーゲンや脂肪酸として貯蔵・蓄積すること
を促します。
逆に、食間の血糖を適切に保つために働くのは、
膵臓から分泌されるグルカゴン。
グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解を
促します。
他にも、アドレナリン、チロキシン、
コルチゾール、成長ホルモンといったホルモンが、
血糖低下を妨げるように働いてくれます。
血糖を下げるホルモンが1つに対して、
上げるホルモンが5つ。
生命維持にとって低血糖は緊急事態だ
ということが、よくわかります。
まとめ
食後⇒血糖が上がる
⇒インスリン分泌↑
肝臓・筋肉では、グルコースの取り込み↑
肝臓・筋肉では、グリコーゲンの合成↑
脂肪組織では、グルコースの取り込み↑
脂肪組織では、トリグリセリド合成↑
食間⇒血糖が下がってくる
⇒グルカゴン分泌↑
肝臓のグリコーゲン分解↑
出典:栄養科学シリーズNEXT 新・栄養学総論 講談社
栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学 講談社
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▶Columnist Profall
協会事務局スタッフ M・Y
管理栄養士
日本女子大学卒業
大手食品メーカーの研究職を経て、現在に至る。
3児のママ。




