深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~栄養学総論②~

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深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~栄養学総論②~

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今回は、苦手な人も多い「脂質」の栄養について
の問題です。

2023年問題42、正答率は46.7%。

Q

(2023年)問題42. 脂質の栄養についての
記述である。正しいのはどれか。

(1) パルミチン酸は、不飽和脂肪酸である。
(2) 脂肪酸は、グルコース合成に利用される。
(3) VLDLは、肝臓で合成される。
(4) キロミクロンは、肝臓で合成される。

⇒×(1)パルミチン酸は、飽和脂肪酸である。
 ×(2) 脂肪酸は、グルコース合成(糖新生)に
    利用されない。    
 ◎(3) 【正答】
 ×(4) キロミクロンは、小腸で合成される。

脂肪酸について復習!

苦手なものは、何度も復習することが大事です。
生化学③で、
不飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、
中鎖脂肪酸、必須脂肪酸
などをもう一度確認しましょう!

パルミチン酸は、飽和脂肪酸であるということが
分かります。


脂質の消化と運搬

脂質の消化・吸収については、解剖生理学②で
確認しました。

脂質は、小腸でリパーゼの作用を受けて
脂肪酸グリセロールに分解され、
胆汁酸の助けも受けて、
小腸上皮細胞から吸収される

さらに、吸収された脂肪酸グリセロール
行方を追っていきます👇

トリグリセリドに再合成
脂肪酸+グリセロール×3)
②アポたんぱく質、リン脂質、
 コレステロールとくっついて、
 リポたんぱく質・キロミクロンになる
 ⇒水に溶にくい脂質が、
  血液で移動できるようになる
  (生化学③をチェック)
③リンパ管⇒心臓⇒全身

トリグリセリドの合成

脂肪組織のトリグリセリドは、
体の主要な貯蔵エネルギー。

前回の「糖質の栄養」でも確認したように、
肝臓や脂肪組織に取り込まれたグルコースは、
代謝されてアセチルCoAを生じ、
アセチルCoAから脂肪酸がつくられ、
グリセロール3-リン酸経路によって
トリグリセリドが合成される。

肝臓で糖質から合成されたトリグリセリドは、
リポたんぱく質・VLDLとなって
血液中を運ばれ、脂肪組織に取り込まれます。

トリグリセリドの分解・利用

空腹時にエネルギーが必要となると、
脂肪組織のトリグリセリドを分解し、
利用しようとします。

脂肪酸遊離脂肪酸として血液中に出され、
アルブミンとくっついて運ばれ、
筋肉などでエネルギー源に。

グリセロールも血液中に出され、
肝臓へ運ばれ、糖新生の材料に。

さらに空腹状態が続いて
グルコースが不足すると、
脂肪酸のβ酸化が活発になります。
β酸化で生じたアセチルCoAが過剰になると、
肝臓でケトン体がつくられます。

問題の正誤理由の補足

「(2) 脂肪酸は、グルコース合成に利用される」

 ⇒体内でのグルコース合成、
  つまり糖新生に利用されるのは、
  脂肪酸ではなく、グリセロールです。

「(4) キロミクロンは、肝臓で合成される」
 ⇒キロミクロンは、脂肪酸グリセロール
  吸収される小腸で合成されます。

さて、生化学③に続いて、
脂質への苦手意識克服の助けに
なったでしょうか。

栄養学総論の中で改めて学習すると、
食事や健康状態と結びつきやすいですよね😊


出典:
栄養科学シリーズNEXT 新・栄養学総論 講談社
   栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学 講談社

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▶Columnist Profall
協会事務局スタッフ M・Y
管理栄養士
日本女子大学卒業
大手食品メーカーの研究職を経て、現在に至る。
3児のママ。

 

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