<おいしい情報をお届けするコラム>質問です!日本のソウルフード「魚の発酵食品」といえば何が浮かびますか?

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発酵とは、微生物や酵素によって原材料の栄養成分が分解、合成されて、新たなうまみ成分や香り、食感などが生み出されること。栄養価と保存性が高まります!
その歴史は古く、世界各地で生活や風土に合った発酵技術が伝承され、人々の食を支えてきました。
発酵を促す代表的な微生物の酵母菌やこうじ菌は、みそやしょうゆ、パン、日本酒やワインなどに関わり、ほかにヨーグルトやチーズ、キムチの乳酸菌、納豆の納豆菌、酢を作る酢酸菌などがあります。アンチョビやナンプラー、紅茶は酵素発酵から作られています。知っていましたか?

発酵食品の代表職といえば、納豆です

魚介類の発酵食品は世界各地にありますが、特に四方を海に囲まれて水産物が豊富な日本には、貯蔵したり流通させたりするための伝統的な発酵技術があります。
くさや、塩辛、魚醤、いずし、ぬか漬けやかつお節などさまざま。
 
(左)かつお節 (右)イカの塩辛

秋田県では、短期間に大量に捕れるハタハタを数種類の発酵食品に加工して保存、運搬してきました。

秋から春先までの間、北海道から鳥取県までの日本海沿岸で捕れるハタハタはスズキ目の魚で、秋田県の県魚。漁期は11~1月。
県民の冬の定番ですが、昭和40年代をピークに漁獲量が減少して、一時は不漁となりました。
禁漁期間や漁獲制限を設け、産卵やふ化に適した環境整備など資源管理をすることで再び安定して捕れるようになりました。

いずし(飯寿司)の「ハタハタずし」は、塩漬けしたハタハタを水洗いして酢に漬けてから、米飯と大量のこうじを混ぜたものと、野菜などとともに重石をして2~3週間漬け込んだもの。
昭和30年代頃は県内の半数の家庭が作っていました。癖が少なく食べやすいのが特長です。そのままで骨まで食べられます。

ハタハタずし

魚醤の「しょっつる(塩魚汁)」は石川県のいしるとともに知られている魚を原料としたうまみ調味料です。高濃度に塩漬けしたハタハタを自己消化酵素を利用して酵素発酵させて、1~数年間かけて作ります。秋田名物のしょっつる鍋は、具材にハタハタやタラなどの魚と豆腐、季節の野菜などを使用して、しょっつるで味付けした鍋料理。
焼き魚にするときの代表的な食べ方は「ハタハタの三五八(さごはち)漬け」です。ハタハタを食塩とこうじ、米を混ぜ合わせた漬け床に数日~1週間程度漬け込んでから焼いて食べます。

こうしてハタハタは江戸時代から、日本海沿岸だけでなく内陸を含む秋田県全域で食べられてきました。

三五八漬けは福島県発祥の郷土料理で、秋田県や山形県などにも伝わるこうじ漬けです。食塩、こうじ、米を3:5:8の割合で混ぜ合わせていることが名前の由来です。
それ自体にはほとんどにおいがなく、漬け床に身近な食材を漬け込むだけという、手間が必要ないことから東北地方の家庭で親しまれてきました。

三五八漬けの素

こうじ菌はデンプンやタンパク質を分解し甘みやうま味を生み出し、ビタミンB群などを生成します。肉や魚を軟らかくして消化吸収しやすくしてくれます。
漬け床を作らずにできる、食材と一緒に混ぜるだけの簡単な三五八漬けをご紹介します。

<サケの三五八漬け>


【材料 2人分】
生サケ切り身 2切れ
三五八漬けの素 生サケの正味量(g)の20%
ざらめ(中ざら糖) 生サケの正味量(g)の5%
酒 生サケの正味量(g)の10%
付け合わせの野菜 適量
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*例えば 生サケ切り身 200g(1切れ100g×2切れ)の場合
     三五八漬けの素 40g(約大さじ4)
ざらめ 10g(大さじ2/3)
酒 20g(大さじ1と1/3)

【作り方】
(1) ポリ袋に生サケと分量の三五八漬けの素とざらめ、酒を入れてよくもみます。空気を抜いて袋の口を結んで、冷蔵庫で半日~2日間漬け込みます。

(2) 1を流水で軽く洗って、キッチンペーパーで水気を取ってからグリルで焼きます。焦げやすいので焼き加減に気を付けます。

(3) 皿に盛り付けて付け合わせの野菜を添えます。

(1人分 205kcal 塩分3.0g)

三五八漬け、魚だけでなく肉や野菜にも応用できる優れもの。覚えておくととても便利です。

<肉の場合:鶏モモ肉の三五八漬け>

鶏モモ肉の三五八漬け

分量と作り方は上記のサケと同様です。冷蔵庫で保存。
脂身が適度にある食材に合います。肉類では豚ロース肉や豚バラ肉、鶏モモ肉、鶏手羽など。魚類ではサケやサバ、イワシ、アジ、ブリ、イカなど。
グリルやフライパンで焼いたり、唐揚げにしたりします。漬け床は再利用しないで使い切りにします。

<野菜の場合:カラフル緑黄色野菜の三五八漬け>


分量と作り方は上記のサケと同様ですが、酒を水に替えます。冷蔵庫で保存します。
キュウリやダイコン、ニンジン、かぶ、なす、セロリ、ズッキーニなど。パプリカなど甘みがある野菜にはざらめを入れません。
野菜は丸ごと、または半分、四つ割りなどにして漬けます。盛り付けるときに流水で軽く洗ってから食べやすい大きさに切ります。漬け床は2~3回再利用できますが、野菜から水分が出て塩分濃度が低くなったり、室温で保存したりすると過剰に発酵します。泡が出てきたり、アルコール臭がしたりする場合は繰り返しの使用を中止します。


三五八漬けの素のパッケージ袋です

三五八漬けの素は東北に限らず、全国のスーパーマーケットなどの食品売り場で購入することができます。
レシピを参考にして作ってみてくださいね。



 

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