深堀り!栄養士実力認定試験過去問題~解剖生理学①~

「解剖生理学」は、栄養士養成校の学生さんに不人気な科目だと聞きました。
私の好きな科目だったので、ちょっと残念です。
「健康」を支える仕事をするためには、人体の構造と機能を理解していることは重要です。
何より、教科書に載っている「人体の構造」は、つまり自分の身体はこんなつくりだってことだし、
「人体の機能」は、自分の身体の中で日々起こっていることです。
まずは、過去問題の傾向から、 絶対に押さえておきたいポイントを挙げます。
解剖生理学のポイント
●消化器での消化・吸収について理解する!
●自律神経について理解する!
●心臓の構造を覚える!血管について理解する!
(●腎臓の構造を覚える!尿ができる過程を理解する!
●血糖値のコントロールにかかわるホルモンの名前と作用を覚える!
●骨と筋肉の構造の基本を理解する!
●呼吸器系の構造を覚える!
あら、ポイントに絞ったはずが、意外とたくさん…
でも、自分たちのからだのことだし、知ってることも結構あるはず!
まずは、比較的過去5年間の正答率が高い「自律神経」についての問題から。
2024年度の問題13。正答率は60.4%です。
Q
(2024年)問題13. 自律神経の機能についての記述である。正しいのはどれか。
(1) 交感神経が優位に働くと、気管支は収縮する。
(2)交感神経が優位に働くと、胆汁の分泌は促進される。
(3) 副交感神経が優位に働くと、胃の運動は促進される。
(4) 副交感神経が優位に働くと、グリコーゲンの分解は促進される。
⇒×(1) 交感神経が優位に働くと、気管支は弛緩する。
×(2) 交感神経が優位に働くと、胆汁の分泌は抑制される。
◎(3) 副交感神経が優位に働くと、胃の運動は促進される。【正答】
×(4) 副交感神経が優位に働くと、グリコーゲンの分解は促進される。
自律神経とは?
神経系のトップ(=中枢)は脳と背骨に囲まれた脊髄。
これら「中枢」と連絡して、心臓を動かしたり呼吸をしたり消化をしたり…
と生命を維持するためのはたらきをコントロールするのが「自律神経系」。
交感神経系と副交感神経があり、
交感神経は活発に運動したり集中して勉強したりしているときに優位に働き、
副交感神経はリラックスしてのんびりしていたり眠ったりしているときに優位に働きます。
具体的にみてみると、こんな↓かんじです。
・交感神経が優位に働くと→血圧が上昇する、心機能が高まる、瞳孔が開く、
グリコーゲンが分解される、インスリンの分泌が抑制される、平滑筋が弛緩する
消化機能が抑制される(消化液の分泌抑制など)
・副交感神経が優位に働くと→消化機能が活発になる(消化液の分泌促進など)、
心筋活動が抑制される、平滑筋が収縮する、瞳孔が狭まる
エネルギーや栄養の蓄積が促進 (インスリン分泌の促進、グリコーゲンの合成など)
「食休み」は副交感神経を優位に働かせ、食べた物の消化を促すための休憩時間だということですね。
神経系にまつわる余談

神経細胞(ニューロン)、かわいくないですか?
細胞体と樹状突起、軸索と神経終末から成るあの姿。
高校の生物の授業でノートに書き写した時から何だか好きです
。 いくつものニューロンが情報をリレーしたり、
一つのニューロンの軸索が1mもあって、そこを情報が伝わっていったり…
と、面白いですし。
神経終末と次の細胞の接合部のシナプスでは、
神経伝達物質の放出を介して情報が伝導されます。
スポーツの試合中の興奮状態を「アドレナリンが出ている」と言ったり、
ゲームで勝ってハマっていく理由として「ドーパミンが出る」と言ったり、
ハグをすることで「幸せホルモン」の「セロトニン」が出ると聞いたり。
意外と身近ですね。
出典:出典:人体の構造と機能 第5版 医歯薬出版株式会社
※建帛社 2025年版 栄養士実力認定試験過去問題集全国栄養士養成施設協会が毎年実施する実力認定試験を2024年12月実施分まで、
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▶Columnist Profall
協会事務局スタッフ M・Y
管理栄養士
日本女子大学卒業
大手食品メーカーの研究職を経て、現在に至る。
3児のママ。